アメリカの投資顧問とは

一般に、投資顧問業者とは、他人が証券投資を行うに際し、銘柄、種類、投資時期等に関して助言を行うことを業とするものとされている。アメリカで、投資顧問業を営んでいる者は、以下の通りである。

  1. 1940年投資顧問業法に基づく投資顧問業者
  2. 1933年銀行法に定められた銀行および持株会社の子会社である信託会社で、信託業務にともなって投資顧問業務を営むもの
  3. 1934年証券取引法に基づき、証券売買等に付随して投資サービスを提供する証券ブローカー、ディーラー
  4. 1969年保険法に基づき、生命保険業の周辺業務として投資顧問業務を行う生命保険会社
  5. 固有業務に付随して投資サービスを提供する弁護士、公認会計士等

これらのもののうち、(2)~(5)は、自らの本来業務の一部または、それに付随するものとして投資顧問業を営んでいる。

一方、(1)の1940年投資顧問業法に基づく投資顧問業者は、主たる業務として投資顧問業を営むものである。

【違い1】投資顧問は主に「株」などの有価証券が対象」

第1に、投資顧問業者は、主として株式などの有価証券に関する助言を行う。これに対して、FP(ファイナンシャル.プランナー)やIFA(独立系資産アドバイザー)は株などの有価証券だけでなく、銀行預金、保険、不動産、個人年金、および信託など、非常に広範な投資対象物に関する助言を行う。

【違い2】投資顧問の目的は「顧客の資産増大」

第2に、投資顧問業者は顧客の資産の増大を最重点の目的とする。これに対して、ファイナンシャル・プランナーの助言目的は単なる資産増大に限定されない。

すなわち、FPやIFAは、顧客の家族、年齢構成、生活様式、資産状況、目標、および現在直面している問題などを総合的に分析する。そのうえで、顧客の目標に最適の資産構成の選択、助言を行う。

【違い3】ファイナンシャル・アドバイザーには広範な知識が必要

第3に、投資顧問業者には、主として有価証券および、それに関連する知識が要求されるだけである。これに対してファイナンシャル.プランナー(FP)やファイナンシャル・アドバイザー(IFA)は、顧客の事情を総合的に判断して助言を行う必要がある。このため、一般の投資顧問業者よりも、より広範な知識、教養が要求される。

ファイナンシャル・アドバイザーに要求される知識とは、以下の通りである。

  • ・会計学
  • ・金融学
  • ・経済学
  • ・マーケティング学
  • ・一般商学
  • ・商法
  • ・中小企業経営学
  • ・数学
  • ・正しい言語
  • ・人間行動学
  • ・税金知識
  • ・不動産管理知識
  • ・投資商品に関する知識
  • ・コンピュータに関する知識

弁護士、公認会計士、および税理士

また、FPの多くは、弁護士、公認会計士、および税理士などの知人を有する。FPは、顧客のために最適な資産構成を選択する上でこれらの専門家からの知識、情報を必要とするためである。

【違い4】大手投資顧問のクライアントは、年金基金

第4に、アメリカにおいては、投資顧問業者、特に大手の場合、その顧客は年金基金が中心である。それに対して、ファイナンシャル・プランナーの顧客は一般個人が中心である。資産も小規模なものが多い。

【違い5】投資顧問の資格「公認投資カウンセラー(CIC)」

第5に、投資顧問業者には、「公認投資カウンセラー(CIC)」という称号・資格がある。一方、ファイナンシャル・プランナーには、「公認ファイナンシャル・プランナー(CFP)」、「公認ファイナンシャル・コンサルタント(ChFC)」などの称号・資格がある。

【共通点】投資顧問とFP

一方、共通点もある。投資顧問業者は、顧客が株式や債券などの有価証券に投資するに際し、銘柄、種類、投資時期に関して助言等を行う。一方、FP・IFAも、顧客に対して有価証券投資の助言を行う。この点に関する限り、投資顧問業者とFP・IFAとは共通の性質を有する。

連邦や州が同様の規制

これを受けて、連邦法、諸規則においても、また、大半の州においても、ファイナンシャル・プランナーが、投資顧問業者とみなされ、投資顧問業者と同様の規制を受けている。